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一念凡生 · 上下通円 · 88 / 102

入塞・この身は旅人

入塞・この身は旅人 · 挿絵

蒼い山へ入る。ほかに望みはなく、冷たい月が懸かる。粉雪が肩近くに迫り、馬を放って雄関を疾駆する。思慕は引き留め、万古は厳しい。

胸に抱く琵琶に歳月が帰る。戦鼓が轟き、戦火は一瞬。長蛇が吼え、冥府の泉を煮立てる。急ぐ筆の先、物語が加わる。

語釈——

雪塵:風に運ばれる細かな粒の雪。
掣[chè]:きわめて速くかすめ過ぎる。
幽泉:冥土、地府を指す。

*本作品は光之十一のオリジナルです。転載の際は原作者名を明記してください。権利侵害が判明した場合は、法的責任を追及します。挿絵はインターネットより引用したもので、著作権は原画作者の伊吹五月に帰属します。