一念凡生 · 我本頑痴 · 05 / 102
西江月・疎影

槐の木の忍びやかな香りにふと目覚め、華やかな灯が青春を消し尽くす。紅い壁と緑の瓦が風を蠱わせて吟じ、更漏の音に覚めれば愁いが胸に籠る。
浮世では、狂を装うことが装いではない。高みに凭れば、魅ある影は塵を絶する。おぼろに空しい絳紫のなか、深い情は廃れ、傀儡が運命に罝を張る。
語釈——
罝[しょ]:鳥獣を捕らえる網を指す。網にかける、捕らえる。
*本作は創作です。転載の際は原作者・光之十一を明記してください。権利侵害があった場合、発見しだい必ず法的責任を追及します。なお、挿絵はインターネットより引用したもので、原画師・伊吹五月に帰属します。