一念凡生 · 我本頑痴 · 41 / 102
別怨・ひそやかに

桃色が灯を吹き消す。戸口へ寄れば、胸の思いはひとりぼっち。水晶の簾を下ろそうとし、菊の簪で髪を結って、しとやかに歩む。まばらな花模様の便箋に、酒の狂いを放つ。
あなたを見送りはしない。紅の涙が、別れの情をにじませる。冷たい池で馬に水を飲ませ、枯れ蔓が蜻蛉を絡めとる。あまりにいとおしい、声を失った琴瑟。獣形の香炉は冷え、夜が明けようとしている。
語釈——
別情:別れに寄せる思い。
飲馬:馬に水を飲ませること。
金獣:獣の形をした香炉。
*本作品は光之十一のオリジナルです。転載の際は原作者名を明記してください。権利侵害が判明した場合は、法的責任を追及します。挿絵はインターネットより引用したもので、著作権は原画作者の何何舞に帰属します。