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一念凡生 · 我本頑痴 · 08 / 102

満江紅・胡ぞ帰らざる

満江紅・胡ぞ帰らざる · 挿絵

角笛が疆を開き、旌旗は烈しく、砂を万里に巻きあげる。蒼き天地は変わり、豺狼が路を塞ぐ、ただ一人、一騎。群れなす卒と鏖戦し、蛮力で阻み、死生は酣く畅やか、国の恥を軽んじる。胡の関を待ち、錆びた甲が丹心を奉じ、羌の笛が傍らに侍る。

涙の目は熱く、弓の弦は張り、砂礫は打ちつけ、芒の草鞋は狭い。烽燧が秋娘に告げ、思いは憔れ悴れる。残骸を焼き払って酒と肉を寄せ集め、夜の濃さが彷徨う心を遮り隠す。古道を手に揽り、指を折って燕の巣に帰るを数え、糸竹を乞う。

語釈——

鏖戦[おうせん]:人と激しく戦うことを指す;
魚目:涙にぬれた目;
芒鞋:植物の葉や茎で編んだ草鞋を芒鞋という;
秋娘:ひろく、聡明で才のある女性を指す。

*本作は創作です。転載の際は原作者・光之十一を明記してください。権利侵害があった場合、発見しだい必ず法的責任を追及します。なお、挿絵はインターネットより引用したもので、原画師・伊吹五月に帰属します。