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目次

道をめぐる十万の問い

導入

道士はなぜ天上界に公文書を書くのでしょう。なぜ身体の中に神々が宿るのでしょう。一枚のお札は、なぜ文字にも絵にも見えないのでしょう。遠く感じられるこうした問いの先には、古人が身体をどう捉え、秩序をどう整え、病や別れ、運命にどう向き合ったかがつながっています。

こうした具体的な問いから出発して、道教の世界へご案内したいと思います。まず一つの道具や所作、物語を見つめ、そこにある文化を少しずつ読み解いていきます。

一、私がこの本を書いた理由

Shixi Linと申します。道号はLin Shiyiで、武当三豊派の第十五代、師字輩の継承者です。書くことや創作を通して世界を知り、実践的な修行も大切にしています。読んだこと、学んだことを日々の暮らしに持ち帰り、そこで実感したいと考えています。

この数年、一人で中国の半分と海外三十余か国を旅し、さまざまな文化や信仰、日々の暮らしの中で学んできました。また、東西の精神的伝統を継続して学んでいます。触れるものが増えるほど、具体的な人や出来事に立ち返り、よく知られた語りがどこから生まれ、どのように変わってきたのかを問い直したくなります。

この本を書くことも、そうした問いを続ける試みです。道教と聞くと、仙人や符籙、錬丹、不老長寿を思い浮かべがちです。そうした馴染み深いイメージの先へ進み、それを伝えてきた人々が何を読み、何をし、どんな願いや苦境に応えていたのかを見ていきたいと思います。

二、身体から天上界へ

本書では、身体の中の神々、性命を養う修行、仙人になるという想像を取り上げます。また、符籙、法具、歩罡などの儀礼や、天上界の官職・文書・秩序についても扱います。人物や物語にも目を向け、同じ名前が歴史書、道教文献、志怪、小説でどのように異なる姿を見せるのかをたどります。

一字や一つの道具から始まる章もあれば、ある人物の歩みに沿って進む章もあります。いずれも、こうした考え方や実践がなぜ生まれ、人々の暮らしにどう入っていったのかを見つめます。

執筆にあたっては、できる限り言説の出典と文脈を示し、文献の記録、民間伝承、文学作品をそれぞれの位置に置くよう努めます。物語の心を動かす魅力はそのままに、それが歴史上実際に起きたのかは、別の問いとして考える余地を残します。

三、気になる問いから読んでみる

目次の順に読み進めても、いちばん気になる章から開いてもかまいません。どの章も具体的な問いから始まります。読み終えたら、ほかの章とどうつながるかを振り返ってみてください。

見慣れない名前や用語に出会っても、すぐに覚えようとしなくて大丈夫です。まず文章をたどり、その出来事がどんな文脈で起きたのかをつかんでから、背景にある考え方を知っていきましょう。ゆっくり読むことで、細部がもともと持っていた重みが見えてくるかもしれません。

この本が、もう一つ問いを重ね、もう一歩深く見るための伴走者になればと思います。身体から天上界へ、書物の中の仙人から日々を生きる人々へ。この豊かで長い歴史を持つ文化の世界を、少しずつ知っていただけたらうれしいです。